ぱっとしない原作よりかは、数倍面白い。
 過去を辿る旅っていう構成は、いかにもノスタルジックに感動させます的な気がしないでもないけど、うまいことはうまい。ちょっと「101回目のプロポーズ」を彷彿とさせた。
 亡くなった恋人を胸に抱え、追憶に浸るって、恋愛ドラマの最強パターンだよなあ。

 途中までは楽しめた。ただ、柴咲コウの正体があれって・・・ちょと出来過ぎでわざとらしいぜい。
 上映時間が若干長すぎるっていうこともあり、名作になり損ねたっていう感じ。
 でも、見て損はないかなあ。
 光や音楽の使い方とか、さすが新進気鋭の監督の作だけあるなあと思った。 
 ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還 なんば松竹角座にて 只券で

 ・・・ついに終わってしまったよ。早くクライマックスが見たい気持ちがある一方、いつまでも物語が続いて欲しい気持ちがあった。人生の楽しみがひとつ減ってしまった感じや。

 原作を、図書館のきれいなお姉さんに奨められて小学生のとき読んで感動し、ロールプレイングゲームが流行っていたときも、「みんなあんまり知らんやろうけど、ロールプレイングゲームの起源は、指輪物語やねんで」と、けっこう優越感に浸っていた。

 映画第1作が話題になったとき、自分だけの宝物がみんなの人気者になって、うれしいけど、ちょっと寂しさも感じた。ファンタジーは子供向けのイメージがあるけど、指輪物語はそれを払拭した。まさに大人の鑑賞に堪えうる「ハイ・ファンタジー」や。

 アラゴルンの気高さ、サムの忠誠心、ピピンの陽気さ、フロドの使命感、ギムリの頑固さとかわいさ、レゴラスの華麗さ、ゴラムの卑怯ささえ人間のやるせない業を感じさせて、どのキャラクターも立ちまくっていていとおしい。
 映画は、原作に比べると尺の関係から描き込みが少なく、若干エピソードの消化に追われている感はあるものの、原作ファンにとってイメージ的には恐ろしいまでの、ほぼ奇跡的といえるほど忠実に原作を再現している。
 友情の大切さ、裏切りの醜さ、日常の平凡な暮らしのかけがえのなさ、人生における使命をやりきる大変さ、指輪物語はいろんなことを教えてくれた。もう、僕にとっての人生のバイブル。

 幼い頃に読んだ原作のクライマックスを忘れていて、映画の最後には改めて感動させられた。重荷を背負ったフロドが旅立ち、愛すべきサムが物語を紡ぎ続ける。単なるハッピーエンドではなく、何ともいえない切なさと幸福感が入り交じった余韻が残った。

DVDで3巻パックが出たら、絶対買ってやる。